2014年3月28日金曜日

設立趣旨

「新しい公共」の地理学研究グループ設立の趣旨

 現在少子高齢化やグローバル化の進展,財政の逼迫化,社会的ニーズの多様化などを背景に,従来政府が独占的に担ってきた「公共」のあり方が変化しつつある.こうした中,世界的にローカル・ガバナンスと言われる,住民・行政・企業等の様々な主体間でのネットワーク構築,および参加と対話を通じた地域社会のあり方が目指されている.日本でも,2010年6月の内閣府「新しい公共宣言」に見られるように,地域社会の再興を目指す上での鍵となっている.
 平成の大合併による地方自治体の広域化からおよそ10年が経過した現在,「新しい公共」は地域社会や地方自治の望ましい姿を再考する上で不可欠な論点となっている.実際に,地域に焦点を当てた地理学の研究からも「新しい公共」の問題に関わる成果も増えている.しかし,「新しい公共」は近年になり着目されるようになった概念であり,今後は地域での成果や課題のみならず,その方向性の意義や是非についても多面的かつ批判的な検討が必要となる.
 また「新しい公共」は,行政,住民、非営利団体,地縁組織,企業など多様な主体に関わるものであると共に,対象となる分野も公共サービス供給,まちづくり,防災,文化など多岐に渡る.さらに「新しい公共」には機能する空間的範囲や,空間スケールの重層性など地理学独自の研究課題も内包する.このような現状の中,「新しい公共」の動きにかかる実態解明や課題の解決に向けて,地理学が果たすべき役割は大きいと言えよう.その際,政治・社会・経済・都市・農村など地理学内の様々な専門領域において,「新しい公共」に関する理論的・実証的な研究を深化させると共に,それらの成果を統合的に発信し,さらには地理学研究の成果をもとに学際的な議論を喚起し,公共のあり方を提示することが求められる.
 以上を踏まえて, 
  1. 地域社会や地方自治の問題に関心をもつ研究者に対し,実務担当者や様々な分野の研究者を交えながら議論や情報交換する場を提供し,「新しい公共」にかかる研究の一層の深化と発展を図る
  2.  欧米の研究動向を整理した上で,様々な地域や分野で展開されている「新しい公共」について,地理学的なパースペクティブから検討・分析を進めると共に,地理学の立場から「新しい公共」に関する統合的な研究成果の発信を目指す
ことを主たる目的に研究グループを設立する.なお本研究グループでの成果は,シンポジウムなどと共に,刊行物としての公表を目指すこととしたい.

【発起人】
神谷浩夫(金沢大学大学院人間社会研究域人間科学系・教授)
梶田 真(東京大学大学院総合文化研究科・准教授)
栗島英明(芝浦工業大学工学部・准教授)
美谷 薫(宇都宮市役所)
前田洋介(新潟大学教育学部・准教授)
佐藤正志(静岡大学教育学部・講師)…代表者